新たな運動を獲得する戦略とは①:ボディ・マップ

NeuPaddy / Pixabay

「あなたの右脚はどこですか?」

もし私が、あなたにこのような質問をしたらどう反応するでしょうか?

 

「これです」

と多くの方は①指を指すか、

もしくは②動かして私に見せてくれると思います。

 

「脚はこれだよ」と動かしてみせられる。これが何気なくできるのは、

①それが自分の右脚であることが分かっている

②その右脚は自分の思い通り動くことが分かっている

からですね。

 

片麻痺患者さんや下肢骨折にて手術直後の患者さんは、動かして見せてくれることが困難な方がいます。

人によっては、右脚はどこにあるか分からない。

目で見れば自分の右脚ということは分かっていても、目を閉じるとどこにあるか分からなくなるという方もいます。

また動かせたとしても、画一的である決まった筋の組み合わせだけで動かそうとしてしまう方もいますね。

 

身体の存在とは何か?

 

身体と運動とは何か?

 

運動の自由度とは何か?

 

今回はそんなことを考えていきたいと思います。

 

ボディ・マップ

 

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この本、すごく勉強になります。

説明も比較的わかりやすいので、この本の内容を引用しながら説明していきます。

身体の個々のポイント、

それぞれの内臓器官、

指先の空間内のすべてのポイントは、

脳内にマッピングされている。

 

あなたが物質界で感じ、動き、行動する能力は、

脳全体に分布している適応性のあるボディ・マップの

豊かなネットワークから生み出されている。

 

あなたの必要に応じて拡大、縮小し、変形するマップである。

(脳の中の身体地図 13P:はじめに)

***************

マップは異なるものの1対1の対応を明確にする

あらゆるスキーム(図式)と定義できる。

 

…外界と身体の解剖学的構造のイメージが

脳組織に体系的にマッピングされている。

つまり、身体のトポロジー、言い換えれば空間的関係が、

細かい点まで触覚マップに保存されているというわけだ。

 

…このマップは周囲の世界を知るための初源的な身体の窓であり、

一瞬、一瞬と流れ込んでくる生の触覚情報の入り口なのだ。

 

(脳の中の身体地図 16P:身体の曼荼羅)

 

私たちは触覚マップにより、

自己と外界の区別をし、

自己身体の身体各部…鼻、耳、指(それも指先と付け根)、腰、膝、足首など…をくまなくつなぎ合わせつつも各部位の区別ができていると考えられます。

 

自己身体と外界の区別は境界となる

「皮膚」の認識により生まれるとされています。

ダブルタッチ(詳しくは調べてみてください)の重要性はここにあるとされていますね。

 

脳卒中などで運動・感覚麻痺が生じると、どうなるでしょうか?

 

①マップにエラーが生じる。

②エラーの生じたマップを元に姿勢や動作を行う

③当然病前とは異なる姿勢や運動が生まれる

④そしてその情報を元にマップがアップデートされる

 

という状況に、患者さんは陥ってしまっている可能性があります。

 

ボディ・マップの変化は静かに起こる。

今では研究により、

脳がマップだらけであることがわかっている。

体表のマップ、筋系のマップ、意図のマップ、

行動する能力のマップ、

まわりの人々の行動と意図を自動的に追跡して列挙するマップ

さえある。

 

これらの身体中心のマップは実に可塑性に富んでいて、

損傷や経験、訓練に応じて大幅な再編成を見せる。

形成されるのは幼少期なのだが、経験を積むにつれて成熟し、

速度こそ衰えてくるものの、生涯変化し続ける。

 

ただしいくらこうしたボディ・マップ自分という存在の中心だと言っても、

この我が身の化身はたいてい、

意識の端をちらりとかすめる程度で終わっている。

 

ましてや、そのパラメータ(変数)が年々刻々と絶えず変化し、

適応しているとは思いもしない。

意識の舞台裏で続けられている膨大な量の作業を、あなたはまるで理解していないだろう。

だからこそ、身体化が自然に感じられるのだ。

 

ボディ・マップの持続的な活動は、あまりに継ぎ目なく、

自動的で、流れるようにしっくりなじんでいるので、

それが起きているとは気づかないし、

人間性や健康、学習、

これまでの進化の過程、サイバネティクスによって

広がる未来に対する興味深い盗撮を生み出しているとは、

なおさら思うまい。

(脳の中の身体地図 18P:身体の曼荼羅)

 

ボディ・マップの無意識性。

これが脳の素晴らしさでもあり、

臨床的には、

悪い姿勢・動作パターンを定着させ、

新たな良いパターンの構築を阻害していく部分でもある。

 

私たちは毎日、違う服を着ます、

そして違う靴を履くこともあるはずです。

 

仕事に行く際には、カバンを変えることもあれば、

日により荷物が多いこともあれば、手ぶらなこともあります。

 

服の伸び具合や重さ、荷物の重さは毎日違えど、私たちはその変化に戸惑うことなく、当たり前に日常生活を過ごします。

 

そしてもう少し長いスパンでみれば、

子どもなら身長は伸びていきます。

大人でも太ったり、痩せたりします。

だからといって、

リアルタイムに、自分の身体感覚を感じて

「今、背が伸びてる〜〜〜〜」

「今、体重増えてる〜〜〜〜」

とは感じませんよね。

 

そしてその身体状況の変化に応じて、

常にボディ・マップを更新しながら

動作も常にアップデートされると考えます。

背が伸びたら、急に歩けなくなった…なんてことはないように。

 

でもバイオメカ的な負荷がかかりすぎ、それが破綻すると、

痛みを生じたり、上手く体重を支えられなくなり、

歩いたり、動いたりが困難になります。

膝が痛い、腰が痛い、肩こりなどなどもです。

 

でもそれも急に訪れるわけではなく、

実は痛みを生じる前から、関節や靭帯・筋・筋膜には

負荷がかかっています。

負荷のかかっている組織に余力、貯金があるうちは痛みはでません。

動きにくさを感じません。

 

ボディ・マップは

いつもその人の最善を考えて

ネットワークを再編成してくれるわけではないようです。

 

ガニ股の人が、勝手に真っ直ぐのアライメントになってくることはないですよね。

 

ボディ・マップの無意識性と継続的なアップデート

ここが臨床で姿勢や運動が上手く行えない場合に基礎となる部分だと思います。

 

その人にとっての身体はどのように存在しているか?

 

そしてあなたの身体はどう存在しているか?

 

これを一度考えてみると良いと思います。

 

なぜあなたは目を閉じても身体があると感じますか?

なぜ歩くときに脚を見ないでも歩けていますか?

歩くときに脚はどう感じますか?

 

もし詳しくそんなことを知りたい方は、以下の本もオススメです。

自分が1、2年目の時に自分の身体を感じる、考える際に出会ったバイブル本です。

ご興味があればどうぞ★

 

最後まで読んでいただきありがとうございました!!

 

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17(土) 基礎編:姿勢分析のための骨・筋の評価

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講師:小松 洋介

6/17,18(土日)東京「ST向け 姿勢分析のための骨と筋の評価と介入」

 

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