嚥下と姿勢の関係①:筋のつながりから考える

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昨年あたりから

ST、嚥下、姿勢、ポジショニング、シャキアあたりをテーマに講演をする機会が多くなりました。

 

とはいえ、僕はSTさん並みに嚥下が詳しい訳でもありません。

STさんと同じ患者さんを担当していく中で、自分がポジショニングや姿勢の介入をしながら、STさんに同時に嚥下の評価・介入をしてもらう中で、姿勢の介入により嚥下が改善していく場面を多く経験しました。

 

またその際、全身を見る、筋や骨など解剖学的に姿勢の良し悪しを判断することが苦手なSTさんが多いとも感じました。

 

姿勢や動作を、筋や骨、また姿勢制御・運動制御を踏まえて考察していくことで嚥下にも良い影響を与えるという経験をたくさんしてきました。

 

その経験が、少しでもSTさんのお役に立てればと思い、STさん限定のセミナーを開催しています。

 

嚥下も筋活動

 

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画像出典:BodyParts3D/Anatomography

嚥下も含めて、身体の運動は全て筋収縮、筋の張力の変化によって起こります。

 

筋収縮は、基本的には筋の長さが短くなります。また筋には必ず起始と停止が存在します。筋が収縮した場合、起始または停止のどちらが固定力が強いか?によって運動は変わります。固定力の強い方に向かって筋は短くなります。

 

嚥下時には、舌骨・喉頭の挙上が起こります。

上記の図から考えると舌骨の上に存在する筋(舌骨上筋群)が短くなり、舌骨を引き上げようとします。その際、

①舌骨上筋群を十分短くできる

②舌骨下筋群が舌骨挙上を阻害しないだけの柔軟性がある

ことが重要になります。

 

舌骨挙上を阻害する要素とは?

脳卒中やワレンベルグ症候群など直接的に嚥下筋に指令を出す神経経路が障害されて起こる一次的な障害により、嚥下はスムーズに行えなくなります。

また高齢者の誤嚥や脳卒中患者さんでは嚥下筋の筋力低下や筋の硬さなどによる筋の張力のアンバランスなどにより二次的に嚥下筋の活動が阻害されることがあります。

 

ポジショニングや徒手的アプローチで即時的に効果が得られやすいのは、後者の筋力低下、筋の短縮、筋の張力のアンバランスによるものです。

 

 

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(画像出典:BodyParts3D/Anatomography

 

舌骨につく筋はどこにもう一つの付着部位を持つでしょうか?

【舌骨上筋群】

舌、下顎、側頭骨茎状突起・乳様突起

【舌骨下筋群】

甲状軟骨ー胸骨、肩甲骨

ですね。

舌骨は、肘や膝関節のように骨同士で関節を作るように存在はせず、舌骨上・下筋群の綱引きのバランスの上に浮遊している骨です。浮遊しているということは、舌骨の位置や運動は舌骨についている筋の張力バランスに依存する、ということになります。

 

舌骨の位置・運動方向の決定と臨床上の問題

高校時代に習ったであろう「ベクトル」をイメージしてもらえると理解しやすいはず。僕もうろ覚えですが…(笑)

 

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(画像出典:BodyParts3D/Anatomography

 

舌骨の上または下についている筋群が左右のバランスを取り、舌骨・喉頭が上方向にしっかりと移動できるか?が大事になります。

そう考えると単に上筋群が短くなって、下筋群が伸びれば良い、だけでは済まなくなります。上または下筋群それぞれの左右の張力バランスはどうなのか?もイメージしないといけません。

片麻痺による一側上肢の弛緩により肩甲骨が下がってしまったり、体幹が麻痺側に傾き、胸骨の高さが変わってしまえば、麻痺側の舌骨下筋群は下方に引かれるかもしれません。逆に非麻痺側側の緊張が高ければ、舌骨や喉頭は非麻痺側に偏位することもあります。

 

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(画像出典:BodyParts3D/Anatomography

 

さらには図の緑色の胸鎖乳突筋の緊張が高い(顎が前に出る、円背が強い)場合にも、頸部の軽度屈曲が起こりにくくなり、頸部前面に存在する椎前筋なども働きにくくなることが予測されます。また乳様突起や茎上突起と舌骨の位置関係の変化により、舌骨上筋群が働きにくくなる可能性があります。

嚥下と姿勢を考えていくポイント

嚥下のしにくさのある方にポジショニングを検討していく場合、もちろんポジショニングごとに、舌骨や喉頭の動きを確認することも大事です。

そこに骨や筋の位置関係と舌骨・喉頭の位置や動きを考察できることで、より具体的で細やかな姿勢の評価ができるようになります。

肩甲骨や胸骨(胸椎のカーブや胸骨の向き)、脊柱、骨盤の位置と舌骨との関係を把握することで、より適切なポジショニングを提案することができると思います。

最後までお読み頂きありがとうございました。

STセミナーのご案内

 

①5/13,14(土日)愛知

「言語聴覚士向け 姿勢分析のための骨と筋の評価と介入」

13(土) 基礎編:姿勢分析のための骨・筋の評価

14(日) 実践編:摂食嚥下のための徒手的アプローチとポジショニングテクニック

講師:小松 洋介

【残り10名】5/13,14(土日)愛知:「ST向け 姿勢分析のための骨と筋の評価と介入」のご案内

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②6/4(日)神戸

言語聴覚士限定セミナー 嚥下のための姿勢評価と姿勢へのアプローチ

【6/4(日)神戸:言語聴覚士限定】「嚥下のための姿勢評価と姿勢へのアプローチ」

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③6/17,18(土日)東京

「言語聴覚士向け 姿勢分析のための骨と筋の評価と介入」

17(土) 基礎編:姿勢分析のための骨・筋の評価

18(日) 実践編:摂食嚥下のための徒手的アプローチとポジショニングテクニック

講師:小松 洋介

6/17,18(土日)東京「ST向け 嚥下につなげるための姿勢分析:骨と筋の評価と介入」

 

ご興味がある方は、是非是非遊びにきてくださいね!!


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