PT・OT・STの求める座位姿勢は違うのか?

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昨日の嚥下と姿勢の記事では、多くの反響を頂きました。誠にありがとうございます★

昨日の記事はこちら↓↓↓

嚥下と姿勢の関係:筋のつながりから考える

 

私自身も病院で勤務していましたし、セミナーにご参加くださるPT、OT、STの方と関わっていると意外にも介入の目的にズレが生じていたり、お互いの介入の目的を伝えていない、または聞いていないというセラピストの方が多くいました。

 

一人の患者さんにPT、OT、STが担当する。でもそれぞれの介入の目的が異なる。ましてやその目的すら知らない。それでは連携も何もありませんよね。そしてリハ職内ですら情報共有、連携ができていないのに、家族や看護・介護職との連携なんてハードル高すぎませんか?

 

今回は座位姿勢について書きます。

あなたは座位バランスが良いと判断するのはどういった条件を満たしている時でしょうか?

 

PT・OT・STの求める座位姿勢は別物なんでしょうか?

 

少し考えてみましょう。

 

良い座位姿勢とは?

 

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良い座位姿勢ってなんでしょう?

倒れないこと?安定?楽?Dynamic Stability?左右対称?抗重力活動?体幹伸展?骨盤前傾?足底接地?自動的?無意識的?重心線とランドマークの位置関係?

上肢や手が使えること?立ち上がれること?食事ができる?更衣ができる?書字ができる?机上で作業ができる?1時間疲れずに座れる?テレビが見られる?

一度、姿勢の定義を見直してみましょう。

姿勢 しせい

身体が静止している状態、運動している状態のいかんにかかわらず、身体の保つようすをさして姿勢という。古くは「構え」とか「格」という表現が用いられた。英語ではpostureがこれにあたる。姿勢の基本をつくるのは全身の骨格であるが、これに付着する筋肉、靭帯(じんたい)および内臓器官などが関係し、これらの協調作用によって姿勢が決められる。
(日本大百科全書(ニッポニカ)より)

 

とあります。

が、姿勢っていわゆる健常人と呼ばれる人でも皆違うんですよね。教科書的な座位や立位姿勢を取っている人なんてまずいません。そして非対称です。内臓は左右対称に存在せず、かつ利き手・利き足があり、動作も左右の手足で違う役割を果たす上で、左右対称であることは、本当に良いと言えるのでしょうか?

 

では、話を戻しまして、良い姿勢ってなんでしょう?

 

私は、目的が果たせるかどうか?が大切だと思います。

もう少し具体的に書くと、食事、更衣、トイレでお尻を拭く、字を書くといった基本的な日常生活動作から、趣味の活動なども含め、

本人の望む活動が遂行できるか?

が良い姿勢の大前提だと考えます。

 

そして、そのためにはどのような要素が関与してくるのでしょうか?

よく言われるのは

①安定性

②効率性

③運動自由度

ですね。ではこれらを少し考察していきましょう。

①安定性

安定している、という言葉はよく使うけど意外に曖昧ですよね。

身体各部位の釣り合いを取って支持基底面内に身体重心を留めるようコントロールできている状態です。

一言で言えば、

転ばないことです。

片麻痺の方では非対称性が強いながらも、更衣や食事は椅子や車椅子から転げ落ちることなくできています。このような場合は(一応は)安定している、と言うことができます。

転ばないこと、これが自立の第一条件ですね。

ですが片麻痺の方のように左右の身体機能に差があり非対称性が強い場合、①の条件は満たしても以下の②,③は良好な状態とはいえません。

 

②効率性

効率性、いかに楽に座っているか。エネルギー効率が良いか。見かけ上、例え教科書的には良い姿勢であっても、それが数秒しか保持できなければ実用性は低いといえます。

そもそも、健常な人でさえ教科書的な良い姿勢を取っていませんよね。

もちろん非対称性が強く重心線から遠くなるほど、関節モーメントは大きくなり、安定するためには、より大きな力が必要となります。そういった意味では非対称よりも対称的な姿勢の方が良いといえます。

またその姿勢における努力性も影響します。同じ姿勢でも、偏った筋や身体部位の働きで保持していれば効率的ではないですよね。

 

③運動自由度

そして3つ目の運動自由度ですね。座位姿勢において、どれだけ多くの身体部位が参加できるか?1つの身体部位でもどれだけ多くの方向の運動を選択肢として持っているか、です。

頭頸部の自由度は嚥下に、上肢の自由度は食事や上衣の更衣、書字や手芸などの手作業に、下肢の自由度は下衣更衣や靴・靴下の着脱に、体幹の自由度はそれらをより円滑にし、下肢との連携で立ち上がりに。

運動自由度は1つの行為の可否を決定するだけでなく、より円滑にできるかどうかにも影響します。それは患者さんの行為の時間や、やりにくさの体感にもつながります。

また偏った、少ない自由度における行為は特定の部位に負担をかけ、その動作が自立できる寿命を縮めることになりかねません。

職種によって良い姿勢の壁を作らない

上記のように考えると良い座位姿勢は、PT,OT,STといった職種別に考えのではなく、共通した要素が多く含まれていることに気づけるのではないでしょうか?

PTは筋の話しかしない

OTはADLからしか見ていない

STは嚥下しか見ない

 

と勝手な先入観を持つのではなく、お互いの強みを活かし、協力をしながら目の前の患者さんにとっての

「良い姿勢」

を考え、ディスカッションし、お互い共有していくこと大切ではないでしょうか?


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