嚥下と姿勢の関係②:嚥下筋と体幹・下肢とのつながり

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(画像出典:BodyParts3D/Anatomography)

筋膜経線:Anatomy Train

アナトミー・トレインとは

英国のセラピストであるThomas W Myersによって、構築された理論です。

個々の筋は、それぞれ単独で存在するのではなく、体中に張り巡らされた筋・筋膜のつながり(筋膜経線:Anatomy Trains)が存在する。

つまり、人間の動作や姿勢の評価・介入を行う上でも、それらの筋のつながりや経線同士の関係性を複合的にとらえていかなければいけないということになります。

実際にポジショニングや徒手的なアプローチにおいても、変化させた部位から離れた部分の変化が起こることがあります。

それは良い変化のこともありますが、介入した部位には良さげな変化が現れたとしても、離れた部位には良くない変化が生まれることもあります。もちろんそれが全て筋膜経線の影響だと言うことでもありません。バランス反応であるかもしれませんし、介入部位の使い方が変わったことで姿勢・運動制御の仕方が変わったからかもしれません。

 

そういったことも含め、身体は個々のパーツがただくっついて個別に存在するわけでなくつながりを持っている

 

そのつながりによって、全身を上手くコントロールしたり、逆に一部分の問題が全身に影響する、というイメージで良いと思います。

 

嚥下に関わる筋膜経線は?

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(画像出典:BodyParts3D/Anatomography)

上の図のように、

嚥下に関わる主要な筋膜経線は赤色で示されたDeep Front Lineです。画像では赤いラインが途切れていますが、実際には横隔膜から、胸郭の内側を走って、舌骨下筋群や椎前筋につながっています。

【Deep Front Line】

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(画像出典:BodyParts3D/Anatomography)

後脛骨筋→膝窩筋→股内転筋→股外旋筋群→骨盤底筋→腸腰筋→横隔膜→胸内筋膜・胸横筋・縦隔→頚深層筋群(椎前筋・舌骨下筋群→舌骨→舌骨上筋群)

*実際はもっと細かいので専門の書籍など、ご興味のある方は調べてみてください。

この時点でSTさんは、このページを閉じたくなっているか、他の楽しいことを考え出していることと思います(笑)が、何となく読み進めてもらえると嬉しいです。

細かい筋肉の名称は後で覚えるとして画像を見て、

嚥下の筋は、

胸郭・横隔膜・大腰筋を通じて、ふくらはぎの筋肉まで繋がっている。

くらいに思っていてください。

 

嚥下をアナトミートレインから考える

さてここからは画像を見てイメージしてください。

この赤いラインを1つの長いゴムだと思ってください。

イメージ①:どこかが硬くなる

・胸郭が硬い、呼吸が浅いなど横隔膜が硬い、胸郭の柔軟性が乏しい

・座位で腰椎後弯や骨盤後傾が目立ち、大腰筋の柔軟性が乏しい

・股関節内転筋の緊張が高い

・内反尖足で後脛骨筋の緊張が高い

などこのラインのどこかでゴムが縮んでしまうとどうでしょうか?

それらは全て頸部より下方に存在しているため、どこかで縮んでしまうと、舌骨はその張力を通じて、下方に引かれやすくなる可能性があります。

(イメージできてますか?)

 

イメージ②:どこかが緩くなる

では逆に弛緩性麻痺の方など座位でクニャンとしてしまい、痰座位保持が困難なケースではこのラインはどうなっているでしょうか?

ゴム全体がたるんでしまい、嚥下時に舌骨上筋群が収縮しても、たるみ以上に収縮できなければ、舌骨を上方に引き上げられなくなります。

 

つまり硬くても緩くてもダメ、ということになります。

そして実際には全部硬い、全部緩いといったことはなく、混在しています。さらには他の筋膜経線の影響を受けたりします。

 

では腰椎前弯・骨盤後傾の場合、頸部にはどのような影響があるかを考えてみます。

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(画像出典:BodyParts3D/Anatomography)

例えば座位で腰椎後弯・骨盤後傾位のケースで腹直筋の短縮や過緊張が認められる場合、腹直筋は胸骨筋膜を介して胸鎖乳突筋(緑色)につながっています。

胸鎖乳突筋が下方に引かれることで、嚥下に不利と言われる頭部前方突出位になってしまいます。

一つの姿勢や身体各部位のアライメントを見たときに、筋はどうなっているのか?また体幹や下肢の状況から頸部の筋にはどのような影響があると予測できるか?といったことを考えると、臨床がより楽しく、そして患者さんの変化につながる問題点を見つけやすくなると思います。

 

最後までお読み頂き、誠にありがとうございました!

また今後、愛知・神戸・東京でSTさん向けのセミナーも開催予定です。嚥下や姿勢にご興味のある他職種の方でも参加可能(6/4神戸のセミナーはSTさん限定)ですので、ぜひお越しくださいませ!

 

STセミナーのご案内

①5/13,14(土日)愛知

「言語聴覚士向け 姿勢分析のための骨と筋の評価と介入」

13(土) 基礎編:姿勢分析のための骨・筋の評価

14(日) 実践編:摂食嚥下のための徒手的アプローチとポジショニングテクニック

講師:小松 洋介

【残り10名】5/13,14(土日)愛知:「ST向け 姿勢分析のための骨と筋の評価と介入」のご案内

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②6/4(日)神戸

言語聴覚士限定セミナー 嚥下のための姿勢評価と姿勢へのアプローチ

【6/4(日)神戸:言語聴覚士限定】「嚥下のための姿勢評価と姿勢へのアプローチ」

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③6/17,18(土日)東京

「言語聴覚士向け 姿勢分析のための骨と筋の評価と介入」

17(土) 基礎編:姿勢分析のための骨・筋の評価

18(日) 実践編:摂食嚥下のための徒手的アプローチとポジショニングテクニック

講師:小松 洋介

6/17,18(土日)東京「ST向け 嚥下につなげるための姿勢分析:骨と筋の評価と介入」

ご興味がある方は、是非是非遊びにきてくださいね!!


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