【新人セラピスト向け②】歩行観察の3つのポイントとは?:脳卒中の方への歩行の介入を考える

0305発表:脳卒中片麻痺の立位・歩行の評価とアプローチ.001

臨床見学は、評価・介入の予行演習です!!

歩行観察を先輩の臨床見学のうちに慣れていきましょう!!!

独り立ちしたら、その時から隣に先輩はいません。

誰もリアルタイムでヒントやアドバイスはくれません。

また業務後先輩に担当患者さんの相談する際にも、観察が曖昧だとうまく伝えられませんよ。曖昧なまま、曖昧な表現で先輩に相談しても、ちゃんと伝わりません。そうすれば先輩もあなたに適切なアドバイスができなくなってしまいます。

新しくセラピストになった皆さんは、さすがに最初の土日はお休みですかね?早速土日も出勤の方もいるのでしょうか?来週あたりから先輩の臨床見学についている時期でしょうか?

少なからず先輩の臨床見学はあるかと思いますが、

見学=ただ見ているだけ、ではもったいないですよ!!!

先輩が「じゃあ今からこの方の介入してね」と言ったら「分かりました!!」と言えるくらいのつもりで、その方の姿勢や動作からどこが問題か?自分だったら何をするか?先輩はどこを問題にして、どのように介入しているのか?を考えることが大事ですよ!

まずは評価ですね!

では今回も歩行における評価のポイントについて書いていきます。

 

前回の記事をお読みになっていない方は、まず前回の記事をお読みください!

【新人セラピスト向け①】歩行の3つの特徴とは?:脳卒中の方への歩行の介入を考える

 

歩行観察の3つのポイント

歩行観察…といってもどこを見るんだろう?股関節・膝関節・足関節・骨盤・体幹・上肢…そんなに一度に見れないし…という方もいることでしょう。僕も悩みました。

もちろん細かく見ていくことも大事ですが、実際の臨床場面では歩行の評価にそんなに時間をかけられません。私たちの臨床では評価+介入で時間を使うことになります。いかに評価の時間を減らせるか?そうすることで介入時間をより多く作り出すことができます。

ただ…評価を雑にして、質を落として…というのも本末転倒です。問題の抽出が曖昧で大雑把なものになれば、介入も大雑把なものになります。介入効果も上手くいく/いかないの波が出やすくなりますね。

短い時間で問題点の抽出のために効率的な評価ができる、というのが理想的ですね。

(実際、世の中そんなに甘くありませんが…)

今回は3つのポイントに絞ってお話しをします。もちろんこの3つだけ見たら歩行の評価を網羅できるわけではありません。が関節アライメントの全体像を効率的に捉えやすいかもしれません。参考になれば幸いです。

下腿前傾角度

0305発表:脳卒中片麻痺の立位・歩行の評価とアプローチ.005

基本的に歩行中に下腿は(足関節・足部を支点として)前傾し続けます。後傾することはありません。しかしお尻が引ける、膝の過伸展が見られるケースでは下腿が後傾位のままであったり、立脚期の途中で下腿が後傾したりします。そのタイミングによって考えられる要素は異なります。以下に下腿後傾のタイミングと筋緊張の関係を書きます。

0305発表:脳卒中片麻痺の立位・歩行の評価とアプローチ.007

SSはSingle Stanceの略です。

脳卒中患者さんにおいては

・IC〜LRの立脚期前半での下腿後傾

 →前脛骨筋の機能低下によるHeel Rockerが得られていないこと

・SS:MSt・TStにおける下腿後傾

 →前脛骨筋<足底屈筋の筋緊張のアンバランスによる足底屈

が考えられます。

0305発表:脳卒中片麻痺の立位・歩行の評価とアプローチ.006

また上の図では、下腿だけを見れば前傾しています。しかし同時に踵も浮いており、足関節は固定されたままになっています。この状態では下腿三頭筋が十分に伸張されず、PSwにおける足の蹴り出し・振り出し作用(足底屈+膝屈曲)は作り出せません。分回しの原因にもなりますね。

 

下腿を観察する際のポイントは

・連続する下腿の前傾

・後傾する場合、そのタイミング

・足部と下腿の独立した動きの有無

となります。

 

体幹の直立

0305発表:脳卒中片麻痺の立位・歩行の評価とアプローチ.008

前回の記事でも書きました。

歩行におけるPassenger unitの役割は、

周囲の環境に目を配ることのできる頭頸部の自由度と物を操作できる上肢の自由度、そしてその自由度を保証する体幹の伸展保持/空間保持能力と衝撃吸収や課題遂行に応じて変化できる脊柱・胸郭の柔軟性といえます。

歩行中に体幹を直立位保持できることは、エネルギーの効率化+歩行中の同時課題の多様性のために大事です。

その体幹直立位に影響を与えるのは股関節屈筋の硬さですね。下記のような場合、大腿の動きだけを観察すると股関節が伸展しているように見えます。

0305発表:脳卒中片麻痺の立位・歩行の評価とアプローチ.009

 

しかし実際には骨盤が前傾(上半身全体としても前傾)しており、股関節は伸展位にはなっていません。歩行の介助にてPSwのために大腰筋の伸張を得ようと大腿骨をハンドリングしている場面を見たことがありますが、体幹が前傾してしまうと大腰筋の十分な伸張を作り出せません。それどころか体幹前傾に対して腰部の過緊張を生み出すという間違ったパターンの学習に貢献している可能性すらありますね。

 

骨盤と下腿の位置関係

0305発表:脳卒中片麻痺の立位・歩行の評価とアプローチ.010

観察において体幹・骨盤・股関節・膝関節・足関節、さらには足部と個別に分けて見ることは大切です。しかし個別に一つずつ見ていくのは時間と手間がかかります。そこで、

骨盤と下腿(上端)の位置関係を見ることをオススメします!

骨盤の向き(前傾/後傾)を捉えるにもトレーニングが要りますけどね★

 

まぁまずはトレーニングです!以下のような骨盤と下腿の位置の場合、大腿骨はどうなっているでしょうか?

0305発表:脳卒中片麻痺の立位・歩行の評価とアプローチ.011

正解は…

………

………

………

………

無駄に引っ張ってみてます、笑

………

………

「…」を打ち疲れたので正解です↓

0305発表:脳卒中片麻痺の立位・歩行の評価とアプローチ.012

こうなりますよね★骨盤と下腿の位置が分かれば、その間(臼蓋と下腿上端の間)に存在する大腿骨の位置は自然に決まります。そうするとどうでしょう?

股関節と膝関節のポジションもわかりますよね?上の図であれば股関節は中間位、膝関節は過伸展位となります。そして最初の下腿の傾きと足部の関係から足は底屈位であることが分かりますよね。

当たり前のことですが、見るポイントを減らしつつ、その間のパーツ(この場合は大腿骨)の傾きや両端の関節角度を同時にイメージできるようになると、短時間でより多くの情報を手に入れることができるようになりますよ!!

 

分かっただけじゃダメ:トレーニングを欠かさない

歩行観察の3つのポイント、少しはお役に立ったでしょうか?

でも分かっただけじゃダメです!!

分かる=できる、ではありません!

実際の目の前の人はスライドのように、骨で歩いていません!!(当たり前ですが)

お肉の付き方も人それぞれですし、服装も違います。裸にできればある程度骨のイメージもしやすくなりますが、臨床中に「じゃあ裸になってください」とも言えません。

だからこそ、今度は骨のランドマークや全体の姿勢の状況から、骨がどうなっているか?をイメージできる力が必要になります。

サッカーのテクニックの本を読んでもスーパープレイの動画を見ても、できるようにならないのと同じです。

あなたのテクニック(評価も介入も)はあなた自身の経験と試行錯誤を通じてでしか、磨かれません。知識はその際のヒントになるだけです。

一緒に試行錯誤をしていきましょう★

最後までお読み頂きありがとうございました★

愛知で歩行についてセミナーを開催します

最後に宣伝ですが、7月に愛知で脳卒中・歩行についてのセミナーを開催することが決定しました。

7/15,16(土日)愛知:「脳卒中患者の歩行分析:歩行周期の理解からハンドリングまで」

詳細・申し込みは記事の中にあります。

歩行の基礎から、そして臨床で悩む評価、考察、そしてハンドリングについて2日間をかけて学んでいきたいと思います。

ご興味のある方は是非お申込み頂ければ幸いです!!!


0305発表:脳卒中片麻痺の立位・歩行の評価とアプローチ.001