ACA梗塞の特徴2~前頭葉内側面の症候学~

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昨日に引き続き、前頭葉内側面です。少し知識の整理がてら書きます(^ω^)

前頭葉内側面の領域

眼窩前頭前野、内側前頭前野、前帯状回、後帯状回、脳梁(膝部、幹、膨大部)、補足運動野、楔前部、1次運動野、1次運動感覚野(下肢メイン)です。

機能:意欲、行動抑制、社会的認知、痛み、報酬、記憶、自律神経・・・

ってこんなアバウトな抽象的な用語なので分かりにくいのですよね。

そんな内側面の病名や症候として

無動無言症→両側前帯状回の損傷

前帯状回、補足運動野→反対側の強制把握、本態性把握反応

前帯状回、補足運動野、脳梁膝→道具の強制使用

前頭葉内側面→アパシー、感情鈍麻、運動無視、注意障害

眼窩前頭前野→脱抑制、社会行動異常

左脳梁膨大部→前向性健忘を中心とした記憶低下

右脳梁膨大部→道順障害

というような教科書的に、局在的な症候はあります

 ただ、こういう症状を起こしてしまう大元はなんなんだ?!もっと原則的なことはなんなんだ!?

ここを今日は書きたいと思います。

前頭葉内側面の眼窩、内側前頭前野、帯状回、補足運動野も含め、高次脳領域です。だからいろんな事に関与しています。複雑な働きをしています。

これらの領域は最終的な意思決定に重要な働きをするのですが、

意思決定の時に情報を上手く選択・抑制できず、病的な異常行動となるのです。

だから強制把握や道具の強制使用など、環境依存的な行動をとってしまったり。

うつ的な、自己評価が低く、発動性の低下を招いたり。

他人の意見を拒否したり、聞き入れるのが難しかったり。

または自己の状況認識が乏しかったり。

易怒性になったり。

というような私たちが理解しにくい状況で、異質な行動選択をしてしまうのです。

なぜかというと、こうした内側面の領域が

・ヤコブレフの情動回路

・ペインマトリックス

・報酬ネットワーク

・心の理論

・デフォルトネットワーク

というようなネットワークの一部や主役を担っているためなんです。もちろんこれらも重複したり、相互に関係しあったりします。

まだまだあると思いますが、メインはこれくらいかと思います。

こうした行動選択や意思決定に重要な

・自身の感情、相手の感情の評価、把握

・心理的痛みの評価、共感

・報酬の評価、報酬を見据える

・相手の行為の意図や発言の意味を感じる、考える、推察する

・自分の今の状態を見つめ直す、自分の内的な思考に注意を傾ける

ポイント

感情、報酬、心理的痛みという要因を自他共に適切に評価したり、重み付けしたり、抑制したりできず、意思決定をしてしまう状態ではないかと思います。

だから意思決定時に、上手にそれらの情報を組み込めず、上記のような環境刺激を抑制できないような行動や、のちのち良いことで、僕らがすすめる装具を、金銭的に難しい(そこまでという程でないのに)からとかたくなに拒否したり。

課題ができない自分に向き合ったときにもうやめる!と拒否したり。

自身の感情コントロールが難しかったり。

もちろん、その患者さんの生活や価値観、病巣の違いで、行動も変わってくるのは当然です。

だから細かくは分かりませんし、目の前の患者さんに合った対応が求められるのです。

でも知らなくていいわけではありません。知らないと気づきにくくなります僕ら自身が。

すると昨日書いたような、回復期でリハ拒否が強い患者さんを作ってしまう可能性があります。

別に脳の知識を当てはめて患者さんをみるというわけではありません。

脳から言うと、こういうことが言えるかもしれない。もしくは頭のすみ入れて関わりを考えるだけで、違った関わりが自然にできるかもしれません。

ただ、病態として出ていることをしっかり僕らが認識できれば、できない患者さんになんでできないのか?と僕らがイライラするようなことが減ると思います。

できないことを患者さんに、無理やりできるように厳しく促すのは、患者さんにストレスが大きいです。

USNの患者さんに左側を見て!見て!見て!と言うようなものです。でもぼくらはやってます。

だって全然みないんだもん。何回言っても治らないんだもん。

たぶん少なからず、療法士もこう感じてしまったり、気づかずに厳しい口調になって指導してしまったりしているかと思います。

ただ、高次脳の患者さん本人もできないことを気づいている方もいます。

先生の言われた通り、やろうと思っても、できないのです。それもなぜかわからないのです。

だから何度も先生からできないところに目を向けるのはつらいこと

と僕は思います。

だから僕らがイメージしにくいような高次脳の病態をしっかり病態解釈して捉えることで、僕ら自身が患者さんに関わるときに、自分も患者さんもストレスが少ない関係で関わることができるかと思います。

ここの関わりにはEBMは存在しません。

僕ら療法士の個性が現れます。

僕ら療法士は、きっと患者さんのこういう関わりの中で、どんどん成長していくと思います。

この関わりを真剣に考える、という試行錯誤や繰り返しが、良いセラピストを作っていくと思います。