リハビリに役立つ知識:随意運動のメカニズム

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「目の前のコップを取る」

これはどうして、できるのか?

これができないのが麻痺。

 

身体的に言えば

「コップに視線を移し、上肢のリーチの前に、姿勢を安定させる。肩がリーチの方向性を決め、肘が距離を調整し、手首、手指がコップの形状に合わせ、手の形を作る。プレシェイピングですね。そして手指の屈筋群でつまみ~ 口まで運び、また戻す。」

 

脳から見れば(コップに視線を移さないこともありますが)

「コップに視線を移し、後頭葉に情報が伝わる。そこかその物体が何であるか?、どこにあるか?という情報がそれぞれ側頭葉、頭頂葉に分かれる。これがwhat、where経路ですね。

そして無意識に自覚している自分の身体図式。今自分の手がどこにあり、どんな姿勢で座っているかなど。の情報と、コップの位置を登頂連合野で統合し、前頭葉へ送る。

また前頭葉には扁桃体や視床下部から、今飲み物を欲しいよ!いう情報が送られているかもしれません。

また過去の記憶から呼び起こされた、飲んだときの快感、つまりドーパミンが側坐核から前頭前野を誘惑しているかもしれませんね。

はたまた今いる場所が営業先であれば、「そんなたやすく飲むわけにはいかない」と。状況に応じた行動をするべきだと。前頭前野が

警告を発しているかもしれません。

身体や物の状況、情動、記憶、そして文脈という情報に応じ、最終的に「飲む」という意思決定を起こします。

そして運動前野や補足運動野が大脳基底核、小脳と連携をとり、どんな風に手を伸ばそうか?(前は暑いコップを片手で取ったら失敗したから、今回は両手取ろうか?)、(ストローを先にさしてから取ろうか)などの順序だった計画は主に大脳基底核ー補足運動野がメイン。逆に(コップまでの手の軌跡はどうしようか?)などのパラメーターは1次運動野も含めた小脳ー運動前野がメイン。

それらの情報が1次運動野に伝わり、皮質脊髄路として脊髄の前角細胞へと伝っていく。

もちろんその前に腹内側系が働くことはもちろんですが(腹内側系は姿勢制御の記事を参考)

この「取る」という予測の情報が、頭頂葉や小脳に送られます。遠心性コピーといわれるもの。

頭頂葉や小脳は感覚が上行する場所ですので、その予測の情報と結果の情報を照合しているのが脳です。

それらの情報が一致しているから、無意識に速く運動が成立します。

もし、その情報間に不一致が起これば、意識(皮質)にのぼり(=あれ、思った通りに取れなかったとか、想像以上に重くて落としそうなど)、再度、手の軌道や力の入れ具合を修正する必要があります。

麻痺は皮質脊髄路の損傷で起こりますが、それに影響する領域は多数ありますよね。

だからBrSがⅥでも、頭頂葉の損傷で身体イメージが形成できない患者さんは、結局麻痺手を使わないですよね?

麻痺の改善にはこういった、自分の身体をイメージできる能力。高次運動野の機能。

またその正確な身体の材料。頭頂葉の機能

辺縁系の活性化。(側坐核の活性化と機能改善には相関があります)

精神機能の落ちつきや的確な目標を持ち持続できる意思決定能力。前頭前野の機能。

そして1次運動野自身の可塑的変化。

運動前野が1時運動野の変わりに働く機能代行の作用。

または反対則の影響(半球間抑制)

とった風に他領域が関与するので、逆に言えば麻痺のリハビリをしていくときに、こういった領域の生かしていくことで、麻痺の改善につながる可能性は十分にありますし、そんなエビデンスもあります。

まずは専門家がこういった随意運動のメカニズムを身体的にも、神経学的にも理解していることが必須ではないでしょうか?


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