長下肢装具の理論ー神経科学の視点よりー

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神経科学からいうほ「歩行」というのは2動作前型歩行

そして人間の歩行システムは、脊髄~大脳皮質まで多岐にわたる

普段、私たちの歩行というのは、無意識に行われ、長時間歩ける効率さをもち、他の事に注意を向けながらできるオートマティックな動きですね。

歩行の臨床と神経機構をつなげる上で、大事なことは、脳の部位やシステムによって歩行に関与する機能が違うことを理解すること!

「脊髄」

○脊髄反射の機能

➡︎例えばIC~LRで膝の軽度屈曲(=大腿四頭筋の遠心性収縮)により脊髄反射を誘発し、脊髄反射による支持性を確保。
歩行の支持の要素はこういった無意識の脊髄反射が関与しています。

➡︎腱反射を検査しますが、腱反射が低下していると脊髄反射による支持機構も機能低下しているとわかります。(末梢レベルの緊張も低い)

 

○脊髄のCPG

➡︎CPGとは、この領域を刺激すると、屈曲ー伸展の交互様の筋活動パターンを発生させる。特に歩行と類似した筋活動パターンを引き起こし、人の脊髄でも確認されている。

 

○脳幹ー小脳システム
脳幹や小脳には歩行誘発野(確認済みは現在3つ程)が存在する

➡︎歩行誘発野の下降路はCPGにつながっています。つまりCPGの誘発や強化。

 

○大脳基底核
認知、運動、学習に関与。

大脳基底核は大脳皮質から情報をもらい、大脳皮質へ返すループと脳幹へいく2つの出口をようしています。
脳幹へ行く出力は、筋緊張の調整、歩行誘発野の活性化、眼球の調整。

 

○小脳
認知、運動、学習に関与。
運動的要素は上記の脊髄や脳幹と連携。

➡︎脊髄小脳路➡︎小脳虫部➡︎網様体脊髄路によるフィードバック型姿勢制御。
認知は皮質橋小脳路により、大脳皮質の情報を受け取り、また上小脳脚、視床をとおり大脳とループを形成。

 

○頭頂後頭連合野
周囲の環境の認知、自分の身体感覚

➡︎自身の体の感覚が悪いと、段差でひっかかかる
(自分の身体イメージによる足を上げた高さと、実際に足をあげた高さに不一致が生じる)

 

○高次運動野
歩行の計画

➡︎どういう道を歩くのか?どういう足の運び方を行うか?などなど。

 

○前頭前野
意思決定や選択的注意、、、実際に歩いてみよう。
(電車に立って乗ってて、降車駅で降りる場面。歩く所を中心に)

➡︎歩き始める
自分の体を出口に向け、姿勢を保ちながら、一歩を出す(頭頂後頭連合野にて身体の位置、周囲の状況の情報を統合し、前頭葉へ。「出よう」と意思決定し、高次運動野や基底核、小脳にて人混みの中をどう歩き、どんな風に体をくねらせて歩くか計画。随意的に一歩踏み出す一次運動野の発火の前に、腹内側系によるAPAs。)

➡︎自動的
一旦、歩くと脳幹、脊髄、小脳の下位システムがより働き出す。

➡︎電車とホームとの間が広く、今の歩幅では難しい場合
今まで他の事を考えていた前頭前野が選択的に注意をし、ホームの間の距離を認識し、「このままでは足を踏み外すぞ」と警告する同時に、皮質系が作動し新たな戦略を作る。
皮質下を抑制し、歩幅を合わせ、注意を段差に向ける。

 

こんなイメージでしょうか?

大事なことは
○歩行とは皮質~皮質下まで多岐に渡り関与=どういう領域の損傷で、どういう歩行障害が出やすいか整理がつき、どんな領域の関わりでも変わることができる。

 

例えば、

トレッドミルで皮質下の自動性を強化➡︎連続歩行に効果

一歩目を練習➡︎意識的で基底核中心のシステムを強化

障害物の歩行練習➡︎頭頂葉を中心とした身体認識の気づきや改善

立位の重心移動➡︎歩行の前の準備や姿勢制御の要素の強化

歩行中の思考➡︎二重タスク練習。歩行への注意を少なくしていく。

 

○「歩行」は特有な神経の領域やシステムがある➡︎歩行誘発野やCPG。

起立誘発野何てものはない。歩行とは特別な動作であることを認識する。

この2点かなと思います。

脳卒中の7、8割?は歩行が可能になると聞いたことがありますが、PTとしたら、どう歩けるようになるか?が気になるところ。

さて、題名の「長下肢装具」ですが

この装具を用いることで、2動作前型の歩行がしやすいです。

そしてCPGやら皮質下の歩行システムの活性化しているのでは?と考えられています。

あくまで仮説ですし、本当に活性化しているかはわかりませんが、

歩行の皮質下の機能をや神経システムを考慮したアプローチですね。

良し悪しは別として、こういった理論からより効果的に歩行を獲得できないか?

そのための装具ということです。


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