装具を装着すれば、歩行は良くなるのか?
LLBで立位・歩行訓練をすればSLBになるのか?
SLBで立位・歩行訓練をすれば裸足歩行を獲得できるのか?
皆さんはどう考えますか?
以前のセミナーで共に講師をした岩澤さん(ねりま健育会病院 理学療法士)
とも装具の位置付けは同じで
「装具は立位・歩行を獲得するためのツールである」という見解でした。
介入の中で、適切に装具を使用しながら自身の姿勢・運動制御能力を再獲得していくことが大切です。
装具をつける=運動・歩行機能が改善する?
若い頃はそう思っていましたし、関わる多くの脳卒中患者さんの話などからも、
「ゲイト◯リューションって良いですか?」
「◯ップスをつけると歩きやすくなりますか?」
「いずれ装具が取れるようになりますか?」
と聞かれることもあります。
直接関わっている方であれば、お身体の状況や使い方などを見て、これこれができるようになれば使えると思いますよ、今だと装具は軽くなるので足を出すことはやりやすくなるけどグラつきは少し増える気がしますよ、と考えられるメリットデメリットを伝えるようにしています。
私の経験上、装具を使えば、勝手に下肢機能が上がるか?と聞かれれば、
もちろん、
NO!!!
です。
装具を装着したら良くなるなら困りませんよね。
患者さんもセラピストも。
装具のメリット・デメリットは?
麻痺が重かったら装具を使用する。積極的な立位・歩行訓練をする。
足背屈誘導付きのLLBを使用して、ロッカーファンクションと逆振り子運動による運動ー位置エネルギーの効率的な変換による歩行の再獲得を図る。
この理屈は分かります。現にそれで良くなっていく方もいるでしょう。
だけど…
LLBで上手く歩行ができたり、立位が安定してきても、いざSLBにしたら膝折れや股関節ー骨盤の動揺が目立ったり…
SLBでそこそこ歩行ができるようになったとしても、裸足になると内反尖足やクロートゥー、ぶん回しがガチッと出現してしまったり…
やはり装具は装着しただけで、患者さんの抱えている問題を改善してくれる便利グッズではないようです。
装具のメリットは、
立位・歩行において、荷重応答(支持・安定)をサポートし、IC〜MStにおけるロッカーファンクションをサポートしてくれることです。
足部ー下腿ー大腿の位置関係を受動的に装具がサポートしてくれることになります。
逆にいえば、
足部〜骨盤の制御を能動的に制御できるようになれば、装具を離脱できる!!!ということですね。
LLBであれば下腿ー大腿(膝関節の制御)は装具がサポートしてくれてます。
その間にいかに股関節を通じた骨盤・体幹の制御による立位保持能力の向上と歩行における股関節での支持と推進活動の獲得をできるか?がポイントになってきます。
さらにその中で膝のロックを外した際の股・膝の能動的制御のトレーニングも同時に進めていき、ある程度制御が可能となったら、SLBへと移行していきます。
SLBでは下腿の制御は、装具がサポートしてくれます。
LLBからSLBになった際の大きな変化は
「膝の開放」ですね。
膝が開放されることは、立位・歩行だけでなく、立ち上がり動作や座位バランスにも麻痺側下肢を参加させやすくなるということです★
言い換えれば、動的な大腿部を通じた股関節と膝関節の能動的な制御が必要になってきます。
そしてSLBから離脱し、裸足になるためには足関節による下腿の制御の獲得を進めていく必要があります。
デメリットは、まさに逆ですね。
物理的な安定(固定)があるために、患者さん自身が自分で制御できていると認識してしまい、能動的な制御を行わなくなってしまう(またはその必要性に気づけない)、結果装具への依存が生まれてしまっている。
言葉ではわかーりにくいですが、
装具を装着することで、
その部位の動きは制限される(言い換えれば固定されるため動揺はなくなる)
参加する関節数を減らし、その中で可動関節の制御能力を身につける
かつ装具離脱のためには装着部位の能動的な制御を同時に進めていく
ことが大切になってきます。
大事なのは、セラピストの皆さんが立位や歩行の改善を目指していく介入の中で、
今患者さんが立位・歩行が上手く行えていない要素は何なのか?を明確にすることです。
そして装具はどのような要素をサポートしてくれるのか?
装具を離脱するにはどんな要素を患者さん自身ができるようになれば良いのか?
を見出し、解決していくことですね。
装具を何のために使っていますか?
患者さんは装具によってどんなメリット、デメリットがありますか?
考えながら使いましょう。
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