姿勢・動作分析って何を見るの?

BRIDGEチラシ.001

「左右対称な姿勢=良い姿勢」はホント?

姿勢分析や動作分析…PTなら少なからず学生時代にケースレポートでやったことがあるはずです。

 

でも姿勢・動作分析の方法ってちゃんと教えてもらった記憶がない。

 

実習前に先輩のレポートを見て、丸や四角、三角と線でこんな風に描くんだよ、くらいにしか教わってない。

 

んで実習中に必死に骨のランドマークを基準に絵に書いて、

右肩挙上・脊柱右凸側屈・骨盤右下制…と字で表現する。

 

今、その見た目の姿勢がどうあるか?

 

を捉えることが目的で、そこに非対称性があれば異常。くらいに思ってました。

 

でも実際に健常者の座位や立位姿勢を見ていているも思うんです。

 

健常者も左右対称な人、いなくない?

 

って。そう、見れば見るほどホントにいない。もうなんだったら教科書の中くらいにしかいません。

 

でも、そこは頭の固い学生・新人時代の私。

 

姿勢は左右対称が良い

 

という本来健常者にすらないものを目指すわけです。

 

若気の至りでその頃やるアプローチはと言えば

「非対称な姿勢を左右対称な見た目に近づけること(セラピストの強制的な修正にて)」

という今思えば、はっきり言って無意味なことをしていました。わかげのいたりがいたれりつくせりです。

 

そりゃーその場限りで戻るわけです。手を離した瞬間に戻ります。

 

その頃には無理矢理姿勢を修正している時の患者さんの嫌そうな表情の変化とか、その修正する力に抵抗してなんとかその非対称な姿勢を保とうとする力なんて気にしてもいませんでした。さらに負けじとこちらが力を入れて、それこそ強制的に対称に近づけます。

だって、左右対称が良いに決まってんじゃん。左右対称じゃない自転車とか車とか真っ直ぐ進まないじゃん。だから真っ直ぐのが良いでしょ、と。ええそうです。わかげです。他の可能性なんて考えもしません。

 

なのに手を離すと、すぐに非対称な姿勢に戻ってしまう…

 

これは運動学習をしていないんだな、と(新人のため今以上に運動学習の知識もイメージも曖昧)。

 

そこで次なる手段です。

 

「(強制的に対称な姿勢にして)これ覚えてください!!!!」

 

です。はい、浅はか。今の自分がタイムスリップして当時の自分にいたらグーパンチを華麗にみぞおちに入れているはずです。「あほーー!!!!」と。

 

 

分かりますね。そんなことで姿勢保てるようになったら、姿勢でお困りの人は存在しないはずです。

 

とはいえ、まずは目の前の現象を捉えることは大事です。

 

学生時代に習った、骨のランドマークをつなぎ合わせて、骨の位置関係をつかむことは大事です。

 

僕のセミナーでも、描いてもらいます。

大体5分くらいで描いてもらいます。

 

僕たちセラピストは臨床時間において、姿勢分析をするだけで単位をもらうことはないはずですよね。患者さんの抱える問題解決のための時間ですよね。だからできるだけ短い時間で、正確に、そして患者さんの特徴をつかみ、患者さんの抱えているであろう問題を推測し、検証し問題を抽出し、それを解決するための課題や介入をしていくはずです。

 

大事なのは問題解決。なので、できるだけ分析している時間は短くしたいんです。

 

で、セミナーでは参加者の方に姿勢の絵を描いてもらった後、以下のメッセージを伝えます。

姿勢ブログ.002

これです。

評価には、バイアスがかかります。

自分の知っているものしか見ない。分かるとこしか見ない。評価方法を知っているものでしか評価をしない、んです。

自分の都合や知識・技術がそのまま評価には反映されるんですね。

 

それで問題解決につながっているならまだしも、つながっていない場合にはそもそも、解決すべき問題すら見つけられていないかもしれません。自分の持っている知識や解釈から、実は患者さんの抱えている問題を抽出できていないのかもしれません。

 

例えば電子レンジが動かなくなった時に、僕はコンセントちゃんとついてる?ボタンのカチカチが反応しない?くらいしか思いつきません。でも電子レンジに詳しい人やメーカーの人は、内部の電気配線やら何やらを知っているので、症状からどの配線の問題なのか?を特定していくことができるはずです。

 

このような場合には知識がなければ解決すべき問題すら見つけられないかもしれませんよね。

 

では話を戻しまして、なぜ姿勢・動作分析をするのか?という目的を一度考えてみましょう。

 

あなたはなぜ姿勢分析をするの?

人それぞれに色んな考え方はあると思いますが、いま僕が大雑把に考えているのは以下のことです。

姿勢ブログ.003

●骨の位置関係をまず捉える

最初に書いたように、肩峰や骨盤の左右の傾き脊柱の側屈や回旋などなど、まずは骨の位置関係を確認します。

 

●筋の状態の予測

上記で観察された位置関係からそこに付着する筋の状態を予測します。高緊張・短縮、低緊張・弛緩、求心性・遠心性・等尺性収縮をしているのか、というのを起始・停止の距離から筋が短い・長い状態にあるのかを予測します。

そして実際に筋を触診して予測した状態を合っているのかを確認します。

ここで上記の骨の位置関係を間違って評価してしまうと、筋の状態に矛盾が生じる可能性があり、問題点の抽出・解釈を誤る可能性がでてきます。

 

●姿勢制御戦略の予測

そして筋の状態を確認する中で、目の前の方はどこを主に使って今の姿勢を保持しようとしているのか?また本来使うべきはずの部位を使っているのか?使っていないのであればその理由は何が考えられるのか?例えば、右足には体重をかけないようにしているのか?ではなぜ右足には体重をかけたくないのか?かけ方がわからない?といった仮説を立て、そしてその仮説を検証していきます。

 

●ADLの影響の予測

そして上記から考えられる姿勢制御戦略がADLにどう影響し、患者さんの日常生活をやりにくくしているのか?を考え、ADL能力の向上のためには何を解決していくべきか?を決定していきます。上記例では右足に体重をかけないようなパターンを取っているため、移乗や歩行動作では過度に左下肢に負担がかかるために左膝の痛みが出ているのではないか?かつ荷重支持の量や機会の減少によって右下肢は廃用が進み、さらに右足への荷重支持能力の低下や荷重への不安が強まるんじゃないか?そのためには右下肢の支持性を高める介入を進めていく必要があるんはないか?と。

 

姿勢ブログ.004

そのためにも、まずは骨と筋という目と手で確認できる部分を正確に評価できる、ことが重要になります。

 

姿勢ブログ.006

立位では上記のようなランドマークを手掛かりにまずは骨の位置関係を捉えつつ、

姿勢ブログ.007

筋や上記のような筋膜のつながり(同系色が一つの筋膜のライン)をイメージして、どこに頼っているのか?逆にどこはあまり使っていない・使えていないのかを仮説を立て、そして介入をしていきます。

 

姿勢や動作は、筋緊張・筋収縮の変化・反応の結果としての骨の位置関係の保持や変化(関節運動)として表現されます。

 

でもそこには脳からの命令である神経系や患者さん自身の不安など心理面の影響があります。神経系や心理面は目に見えません。直接観察することはできません。

 

でもそのヒントが姿勢や動作における骨の位置関係や筋の状態、そして表情や発言などから推測することができると思います。

 

見た目の姿勢や動作を変えるためには、目に見えないプロセスが変わる必要があります。

 

そのためにも姿勢や動作を骨・筋で捉える能力を高めることは、大切な入り口になると思っています。

 

 

姿勢・動作分析のセミナー予定

9・10・11月:姿勢・動作分析(土)、ハンドリング(日)コースを開催!(東京・愛知)

 

8,9月岐阜ナイトセミナー:座位・立位の姿勢分析とハンドリング

 

8,9,10月三重ナイトセミナー:嚥下・上肢 のご案内

11/11(日)横浜「摂食嚥下に対するベッド上のポジショニング」セミナーのご案内


BRIDGEチラシ.001